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zoom RSS パレルモ・マッシモ劇場≪ラ・トラヴィアータ≫ 2017.06.21

<<   作成日時 : 2017/06/22 16:26   >>

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≪ラ・トラヴィアータ≫の主役はヴィオレッタである。アルフレードもジェルモンも脇役である。ヴィオレッタさえ
よければこのオペラは観る価値がある。聴く価値がある。

だからパレルモ・マッシモ劇場の来日公演でデジレ・ランカトーレがヴィオレッタを歌うことを知ったとき、これは観なくては、と思った(演出について若干心配したがこれについては後述する)。

私は2012年4月に東京オペラシティ・タケミツホールでランカトーレとセルソ・アルベロとのデュオ・リサイタルを聴いて彼女の美しいコロラトゥーラに魅了された。そしてその時、この人にはあと5から10年後にヴィオレッタを歌うようになってほしい、実現したら聴きに行こう、と思ったのである。

(今回、会場で2012年に横須賀芸術劇場で収録されたライブのCDを売っていたので記念に買った。そのCDに付いている解説を読んだところ、なんと2012年か13年には既にヴィオレッタを歌っていたのだそうだ!)

さて、昨日のランカトーレであるが、第1幕が開いて驚いたことは、5年前に比べ、明らかに太った(失礼、ふくよかな体型になった)ということだ。そして、声は、5年前に比べてまろやかで深みのあるものに変わっていた。5年前はもっと軽い、レッジェーロだった気がする(私の記憶違いだろうか?)。

いずれにしても、歌はあいかわらずうまい。バルバラ・フリットリやディアナ・ダムラウやチェチーリア・バルトリのようにうまい。また、音楽性も豊かである。以下、ランカトーレの歌唱で大いに満足したところをいくつか挙げてみる。

○ 第2幕第1場でヴィオレッタが「お嬢さんにお伝えください」と歌いだす直前の「変ロ音」を聴いた時、私は批評家ピーター・ヘイワースのマリア・カラス評を想起した。

1953年9月のロンドンでの≪椿姫≫についてピーター・ヘイワースは次のように書いている。
「おそらくもっとも見事な瞬間は、ヴィオレッタが『お嬢さんにお伝えください』を歌い始める前の、長く延ばされた変ロ音だった。...........カラスはこの音を、驚くべきやり方で宙に漂わせた。何の装飾も支えももたないまま、この音を自分を苦しめる葛藤の感情で満たしたのである。」(ユルゲン・ケスティング著「マリア・カラス」P208)

ランカトーレのピアノの変ロ音はオーチャードホール3階席最後列の私の耳にもはっきりと聞こえた。身体を使って空気をふるわせているのだ。これがオペラの歌唱の魅力だ。

○ 同じく第2幕第1場、このオペラのハイライト、Amami Alfredo amami quantio tamo(私を愛してねアルフレード、私があなたを愛してるくらい愛してね)も期待通りで、私は聴いていて身体がゾクゾクッとした。

○ 第3幕では、切々と歌う「さようなら、過ぎし日々」が良かったし、また、「私の肖像を受け取ってね・・・将来、汚れない娘さんがあなたに心を捧げることがあれば、その人と結婚してね。そうしてこの肖像を見せて『これは天国で天使たちに囲まれて僕たちの幸せのために祈ってくれている人だよ』と言ってください。」と静かに歌うこのオペラ最後の山場も感動的だった。

アントニオ・ポーリのアルフレードを聴くのは2回目である。けっして悪くはないのだが特段良いというわけでもない。特段印象に残るテノールではない。

ジェルモンを歌ったレオ・ヌッチは今年75歳だそうだ。75歳になってもこれだけ安定した歌い方ができるのはすごいと思った。バリトンだからかろうじてできるのであって、テノールだったら絶対無理だろう。「プロヴァンスの海と大地」では過剰なまでのブラヴォーと拍手を受けていたがそれは「「この歳でよくぞ」と感じた人がそれだけ多かったのだろう。

フランチェスコ・イヴァン・チャンペ指揮パレルモ・マッシモ劇場管弦楽団の演奏は今まで私が聴いた演奏とは違う特徴があった。

プログラムに掲載された指揮者へのインタヴューによるとチャンペはカルロ・マリア=ジュリーニとダニエル・オーレンから影響を受けたそうで「オーレンからは『劇場のリズム』を教わりました。スコアに書いてあることがすべてではない云々」とある。

チャンパの音楽には他の指揮者と比べて緩急と強弱があった。それは多分スコア通りではないと思うが不自然なものではなかった。いい演奏だったと思う。

演出は穏当で好ましいものだった。何年か前のザルツブルク音楽祭のウィリー・デッカーのような興ざめな演出でなくて本当によかった。

舞台装置はスッキリしたもので演出と同様好ましいものだった。衣装も同様である。

最後に今回鑑賞した座席であるが、先に書いたとおりオーチャードホール3階席最後列である。このホールの最上階で聴くのははじめてである。音はよく聞こえる。全く問題ない。第3幕でヴィオレッタが地声で手紙を読むところはよく聞こえなかったが歌は問題なかった。いい席だった。
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ランカトーレは今年40歳くらいの筈だ。歌手として円熟した年頃だ。今度日本に来たらまた聴きに行こうと思う。

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