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zoom RSS 合唱の魅力

<<   作成日時 : 2017/05/12 15:57   >>

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今から6,7年前、一番下の息子が中学生の時だったが、私が≪アイーダ≫のDVDを居間で観ていたら、息子が通りかかってしばらく一緒に観ていた。

10分ほど観てから「どうだ、面白いか?」と聞いたら、一言、「合唱団が演技していない。」とボソッと言って立ち去って行った。私は驚いた。「ゼッフィレッリみたいなことを言う。生意気なやつだ。」と思った。

「ゼッフィレッリ自伝」 木村博江訳 東京創元社 の中で彼はこう言っている。


  (ゼッフィレッリはスカラ座でロッシーニ《アルジェのイタリア女》の舞台装置を担当したが演出のパヴォリーニが病気がちなため演出助手のような役割も勤めた。ギリンゲッリ(スカラ座支配人)は《アルジェのイタリア女》の次に《チェネレントラ》を採り上げることにした。パヴォリーニの体調が悪いためゼッフィレッリは演出と装置の両方をやることとなった。)

  ミラノに戻って演出家として仕事をするのは生易しいことではなかった。最初の朝、私はスカラ座の合唱団と衝突した。伝統あるこの素晴らしい合唱団は、リハーサルのあいだ全員グレーのオーバーオールを着込み、女性は武器のようにバッグを抱えて、お手並み拝見と私を見守った。私は遅刻し、きっかり五十分後には最初の休憩に入ると申し渡された。ジュリーニはとりなそうとし、シミオナートも口添えしてくれたが、私はうんざりした顔つきの年配の男性たちや胸の大きないかめしい女性たちと対決し、彼らをシンデレラの宮廷舞踏会の輝くばかりの列席者に変身させねばならなかった。
  
  リハーサルが終わったとき、私は一刻もはやく抜け出したいと思った。彼らは扱い切れない。ここでやめたほうがいい。

  シミオナートは怒り狂った。「そうよ、あの人たちが言うことなどきくもんですか」彼女は言った。「あなたがあの人たちを灰色の壁だと思っているうちはだめ。一人一人違うのよ、中にはすごく才能のある人もいる。そして皆スカラ座の合唱には欠かせない人たちなの。確かに気難しいわ、スターになれなかったんですもの。あなたの仕事はそこをなんとかすることじゃない」

  それは木曜日のことで、次のリハーサルは月曜だった。私は組合の事務所に行き、稽古で合唱団のメンバーをよく知るために時間を節約したいので、彼らの名簿を借りたいと頼んだ。それには名前と写真が付いていた。名簿を借り受けると、私は週末をシニョーラ・マッツォーニ、シニョール・ビスコロ、シニョーラ・ギスレーニーソプラノ、バス、メゾと顔を覚えるのに費やした。十二人しか覚えられなかったが、そで充分だった。月曜に舞台に戻った私は、名前を覚えた人たちに一人一人名指しで話しかけて指示を与えた。たちまち全員が感激するのがわかった。シニョーラ・マッツォーニと呼ぶと、彼女はびっくりしたように辺りを見回し、誰が喋っているのかといぶかった。
「あなたはソプラノでしたね?」
 
  彼女は頷き、ぱっと顔を輝かせた。
「ここに立ってくれませんか。あなたはブルーの衣装です。シニョール・ビスコロはあそこ、茶色の衣装です」
 彼らは活気づき、興味を示し始めた。私は彼らを声域別に配置したが、皆に違った動きを指示し、それぞれに役割分担を与えた。全員が反応した。つまり彼らは文字どおり舞台に加わったのだ。批評ではその点が取りあげられ、参加者全員が主役が演技している間意味もなくうろつくのではなく、演技したことが奇跡だと書かれた。そのとき以来私はどこでもそのようにしている。合唱団に敬意を払い、出来るだけその背景を知り、彼らと「ともに」仕事をするのだ。(P230)

息子は偶然に気の利いたことを言ったが、冷静に考えてみると、彼は、当時、中学の演劇部で照明係をやっていたので、舞台上の役者はセリフをしゃべる者だけではないと教師から教えられていたのかもしれない。

ところで先日、私はその息子の母校(高校)で東京混声合唱団の演奏会を聴いてきた。男声13人、女声17人の編成で、これがフル編成ではないと思うが、高校のホールでは充分の人数だった。

演奏したのは私の知らない古い曲(ルネサンスの名曲ージャヌカン:鳥の歌、モーリー:今や五月、モンテヴェルディ:波はささやき)や私の知らない新しい歌(NHK全国学校音楽コンクール課題曲)などだった。

いずれにしても、さすがはプロで、見事なアンサンブルだった。

合唱はアンサンブルが命だから、団員の歌い方はソリストのそれとは明らかに違う。ソリストにも合唱団員にもそれぞれ固有の能力が必要なんだろうなと感じた。そうして、こういうプロの合唱団が歌う≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫を聴いてみたいものだと思った。

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